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レトルト食品の歴史~宇宙食から家庭の味への進化

レトルト食品は、その長期保存性と手軽さから、現代の食卓に欠かせない存在となっていますが、その技術的ルーツは軍事や宇宙開発といった特殊な分野にあります。レトルト食品の歴史は、**「加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)」**という技術の確立と、それを日本の民間企業が一般家庭向けに応用した過程に集約されます。
1. レトルト技術の誕生:軍事と宇宙開発の必要性
レトルト食品の核となる技術、すなわち加圧加熱殺菌技術は、第二次世界大戦後のアメリカで、軍事的な需要から開発されました。
A. 軍事食としての開発(1950年代)
開発の背景: 第二次世界大戦後、アメリカ軍は、缶詰よりも軽量で輸送しやすい、長期保存可能な野戦食の開発を求めました。従来の缶詰は重く、廃棄物処理も課題でした。
技術の確立: 1950年代初頭、アメリカ陸軍ナティック研究開発センターが、フレキシブル・パウチ(柔軟な袋)に食品を詰め、これを高圧・高温(レトルト)で加熱殺菌する技術を確立しました。このパウチは、アルミ箔、プラスチックフィルム、接着剤などを多層に貼り合わせたもので、酸素や水分の侵入を防ぎつつ、レトルト殺菌に耐える強度を持っていました。このパウチで包装された食品は、**レトルトパウチ食品(Retort Pouch Foods)**と呼ばれ、軍用レーション(MRE: Meal, Ready-to-Eat)の基礎となりました。
B. 宇宙食への応用(1960年代)
1960年代に入ると、このレトルトパウチ技術は、アメリカの**宇宙開発プログラム(アポロ計画など)で採用されました。軽量で場所を取らず、無重力下でも扱いやすいレトルトパウチは、宇宙飛行士の食事として最適だったからです。この時期、レトルト技術は、「究極の保存食」**としての地位を確立しました。
2. 日本での民間転用と商業化(1960年代後半)
アメリカで軍事・宇宙食として開発されたレトルト技術を、一般家庭向けの食品として世界で初めて商業化したのは、日本の食品メーカーでした。
A. 大塚食品の挑戦とボンカレーの誕生
技術導入: 1960年代半ば、日本の大塚食品は、アメリカの企業からこのレトルトパウチ技術を導入し、一般の食卓で利用できる商品の開発に着手しました。
課題の克服: 当時、レトルトパウチの製造には高度な技術が必要であり、特にパウチの耐熱性と、パウチ内に封入するカレーの中身(具材やルー)の殺菌バランスを取ることが難題でした。高温で加熱すると具材が溶けすぎたり、風味が損なわれたりする問題に直面しました。
1968年2月12日: 大塚食品が**世界初の一般向けレトルトカレー「ボンカレー」**を発売しました。これは、「お湯で3分温めるだけ」という手軽さが画期的であり、日本の食文化に大きな影響を与えました。
B. 発売当初の苦難
ボンカレーの発売当初は、普及に時間がかかりました。
「腐らない食べ物」への不信感: 消費者は、長期間常温で保存できる食品に対して「防腐剤が大量に使われているのではないか」という不信感を抱きました。
「レトルト」という言葉の認知度の低さ: 「レトルト」という言葉が一般に浸透しておらず、製品の特性を理解してもらうのに時間がかかりました。
大塚食品は、**「加圧加熱殺菌によって無菌状態を実現しており、防腐剤は一切不要である」**ことを大規模な啓蒙活動を通じて粘り強く説明し、徐々に消費者の信頼を獲得していきました。
3. レトルト食品の定着と多様化(1970年代〜現代)
1970年代に入ると、レトルト技術の応用範囲は広がり、日本の食卓に欠かせない存在となっていきました。
A. 多様なジャンルへの展開
カレーの成功を受けて、レトルト食品はハヤシライス、シチュー、中華料理のソース、パスタソース、おでん、お惣菜など、様々なジャンルへと広がりました。
地方のメーカーも参入し、ご当地レトルトカレーや、有名店の味を再現したレトルト食品など、高品質で多様な商品が生み出されるようになりました。
B. 非常食・アウトドア食としての地位確立
カップラーメンと同様に、レトルト食品は長期保存が可能で調理が簡単なことから、防災備蓄品やキャンプ・登山などのアウトドア食としての地位も確立しました。
レトルト食品は、**「安全な保存性」と「手軽さ」**という、現代社会のニーズに完璧に応えることで、日本の食文化の風景を恒久的に変えることとなりました。

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